電話対応が親切な業者を利用しようブログ:190115
母親は腹が出ている…
しかし、姿勢は良い。
その母親がバイクに乗るところを見て
娘のころ同級生が、
「おまえのかあちゃん直角にスクーターに乗ってる!」と
揶揄してくれたものだ。
そのスクーターの前後に
いつもたくさんのスーパーのビニール袋を乗せて
母親は仕事から家に帰ってきていた。
ブロローォン!!と
スクーターの音がしたら、
妹と二人で玄関に走り出て待っていた。
「お帰りなさい!なんかいいものある?」
と、そのビニール袋をガサガサと開けて
「いいもの探し」
をするのが私達の楽しみだった。
三連のヨーグルトやりんごなんかが出てくると、
とても嬉しかった。
「ごはんの前には食べちゃダメよ」
そう言いながらも
喜ぶ私達を見る母親は笑顔だった。
ある日いつもの時間に母親が帰ってこない、
夕方日がとても綺麗な日だった。
携帯電話など無い時代
沈んでいく夕方日とともに
私達の心も騒ぎ出した…
「お母さん、スクーターで転んじゃったんだろうか?」
「もしかして帰ってこなかったらどうしよう」
二人でべそをかき始めた頃…
母親はいつもよりたくさんの袋をバイクに乗せて帰ってきた。
私達のために
「いいもの」を探していて遅くなったのだろう。
母親の腹に抱きついて
「どうしてこんなに遅いのよ、いなくなっちゃうのかと思った!」
そう言ってワンワン泣いた。
あの時いつもの時間に帰ってこないことをきっかけに
いつか母親が死んでしまっていなくなってしまうと
娘心にそのことに気づいてしまった。
だから怖くて仕方なくなった。
でも、母親の柔らかな腹の感触と体温が
その日が来るのはずっとずっと先のことだと
安心させてくれた。